「宮島ラーメンスクール」のブログ

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新聞に掲載されました<記事全文>

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今や日本を代表する食べ物とも言えるラーメン。その味のとりことなった外国人が、ラーメン店を開くために来る「学校」が大阪にあります。一週間という短期決戦の「授業」をのぞいてみました。

8割が外国の人

大阪府東大阪市、学生向けの飲食店が並ぶ通りに「宮島ラーメンスクール」はあります。うどん屋だったという建物は手前がカウンター、奥が厨房です。窓のシェードを半分下ろしているのはラーメン屋とまちがえて人が入って来ないようにするためです。

「外国の人は一から学ぼうという姿勢で、とても素直。こちらも腰を据えて教えなければならないと思います」と、代表でラーメンプロデューサーの宮島力彩さん(53)。午前10時からの講座のために午前5時から仕込みをします。生徒の8割は外国人で、昨年はここで約70組を教えました。東京や海外で出張講座も開きます。

ラーメン以外も

個人やグループ単位なので、内容は要望に合わせて決めます。めんやスープの作り方だけでなく、値段の設定の仕方や必要な設備、サイドメニュー用にから揚げやだし巻き卵も教えます。大体が5日から一週間ですが、趣味で習う人には1日講座もあります。

取材の日、宮島さんが教えていたのはマレーシアの2人です。2年前に北海道で食べたラーメンの味が忘れられず、店を開きたいと思ったチュンユーシュンさん(31)。仕事を休んでシェフをしている幼なじみと来ました。「一週間の講座で店は開けそうですか」と尋ねると、「そう思わなければ来ませんよ」と力強い答えが返って来まいsた。

2階ではもう1人の先生、松原比路美さん(50)がインドネシアと韓国の生徒を教えていました。

「鶏のだしは4時間、豚は8時間かかります。これはお客さんが来る前に仕上げておかないと大変ですよ」。説明はとても実践的です。

「スープは冷蔵、冷凍で何日持ちますか?」と質問するクルニア・プトゥラさん(40)。日本のラーメンには20年前、オーストラリアで出会いました。「豚骨のこってり味が好き。インドネシアにはあっさり味のチェーン店しかない」と言います。元シェフで、自分の店を持つために学びに来ました。

だしは国や好みでいろいろ

スクールは約20年前に開きました。外国人の生徒が増えて来たのは、ここ10年です。「海外のラーメンブーム、それにインターネットの発達でスクールのことが広まったからでしょう」と宮島さんは言います。最初は中国と韓国の人が中心でしたが、今は世界各地から来ます。これまでに500組ほどを教えました。英国のロンドンやスペインのバルセロナでは、卒業生の店が大繁盛店となっています。

スープの材料や味は、国や好みに合わせて変えます。ヨーロッパの人はカツオ節や昆布が手に入りづらいため魚介類で、菜食主義に人はニンニクやキノコ類でだしを取ります。中国、韓国の人は塩分が強いと感じるので薄めの味にします。趣味で学んだカナダ人からは、自分でしとめたシカでスープを作ったというメールが来ました。

訳にも味わい?

通訳の藤木真美さんは「相手の日本語レベルやラーメンの知識に合わせて訳します」。昆布など日本独自のものは説明をつけ加えることもあります。「あく」は「blood(血)」と訳していました。コロンビア人の通訳ピネダ ・オスカルさんは、料理のアシスタントも務めます。「手順を見ながらだから、100%訳さなくても大丈夫。作り方よりも先生の冗談のほうが訳しづらいよ」と笑います。

宮島さんはもともと広告などのデザイナーでした。会社のロゴマークを手掛けるなかで経営のアドバイスをするようになり、経営コンサルタントになりました。ある時、経営が難しくなったラーメン店の相談を受け、飲食業をしていたお兄さんと一緒に立て直しを図ります。これをきっかけにラーメン店専門のコンサルタントとなり、スクールにつながりました。

「日本人は味にこだわるけれど、店が成功するかどうかは立地や雰囲気、接客などいろいろな要素がある。経営を教えるつもりでしたが、外国人向けにはラーメンを作り方が中心になっています」。料理の専門家ではありませんが、材料の取り合わせを考えたり味を似せたりするのは、絵を描くことに似ていると言います。

小学生のころから、ものづくりは得意でした。サンダルに「空を飛べるように」と羽をつけてみたり、動物の工作で原寸大のワシを作ったり。「勉強しない」とぼやくお母さんに「大丈夫、いいものを持っています」と担任の先生は言ってくれたそうです。

「今、考えると独創性ってことだったのかな。子どもたちには『人と違うことをやりたい』っていう気持ちを大事にしてほしいですね」

 

 

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